2024年4月、経済産業省と総務省は従来の複数の指針を統合し、「AI事業者ガイドライン(第1.0版)」を策定した。本ガイドラインは、AIの開発者、提供者、および利用者の三者に共通する指針を示すとともに、各主体固有の責務を定義している。日本政府は、欧州のEU AI Actのような法的拘束力を持つ「ハードロー」ではなく、企業の自主的な取り組みを促す「ソフトロー」形式を採用している点が特徴である。
ガイドラインの核心は、リスクベースのアプローチにある。特に「人間中心の原則」に基づき、AIの判断が人間の権利を侵害しないよう、適切なガバナンス体制の構築が求められる。企業は、AIシステムのリスクを特定し、その影響度に応じた緩和措置を講じる必要がある。これには、技術的な安全性の確保だけでなく、組織内での意思決定プロセスの透明化も含まれる。
ガイドラインの基本理念: 「AIの便益を最大化しつつ、リスクを最小化するためには、固定的な規制ではなく、技術の進展に合わせた柔軟なガバナンスの更新が不可欠である。」
主要な10の原則
- 適正な学習: データ収集プロセスにおける適法性と倫理性の確保。
- 安全性: システムの誤作動や悪用を防止する設計。
- プライバシー保護: 個人情報保護法との整合性維持。
- セキュリティ: 外部攻撃からの防護体制。
- 透明性: AIの出力に対する説明可能性の担保。